お茶屋さんの前を通りかかったとき、ふわっと漂ってくるあの香ばしい匂い。思わず立ち止まって、深く深呼吸したくなるような経験はありませんか?
前回の記事で、まるで出汁のように濃厚な旨味を持つ高級茶「玉露」をご紹介しました。今回はその対極とも言える、気取らない日常のパートナー「ほうじ茶」の奥深き世界へご案内します。
実は今、このほうじ茶の香りが持つリラックス効果が科学的にも注目され、日本のみならず海外のカフェでも大ブームを巻き起こしています。夜の憩いの時間に最高にマッチする、ほうじ茶の魅力に迫りましょう。
なぜあんなにホッとする?ほうじ茶の香りの秘密
ほうじ茶とは、煎茶や番茶などの緑茶を強火で焙煎(ロースト)したお茶のことです。茶葉が茶色くなるまで炒ることで、苦味や渋み成分であるカテキンが壊れ、カフェインも昇華して少なくなります。
ほうじ茶を淹れたときに広がるあの香ばしい匂い。あれは茶葉のアミノ酸と糖が加熱されることで生まれる「ピラジン」という香り成分です。
コーヒーの焙煎や、お肉をこんがり焼いたときにも発生するこのピラジンには、脳の興奮を鎮め、血流を良くして体をリラックスさせる働きがあることが分かっています。低カフェインであることに加え、このピラジンの効果があるからこそ、ほうじ茶は夜寝る前の癒やしの一杯として最強なのです。
葉っぱだけじゃない!知っておきたいほうじ茶の種類
一口にほうじ茶と言っても、焙煎する「部位」や「地域」によって、驚くほど風味に違いが出ます。スーパーで選ぶときや、お茶屋さんを覗くときの参考にしてみてください。
- 葉ほうじ茶:
最も一般的なほうじ茶。煎茶や番茶の「葉」の部分を炒ったもので、しっかりとした香ばしさと、さっぱりとした飲み口が特徴です。和菓子から脂っこい食事まで何にでも合います。 - 茎(くき)ほうじ茶・棒茶:
お茶の「茎」の部分だけを集めて焙煎した高級ほうじ茶。特に石川県の「加賀棒茶(かがぼうちゃ)」が有名です。葉よりも茎のほうが甘み成分が多いため、上品でまろやかな甘みと、透き通った黄金色の水色(すいしょく)が楽しめます。 - 京番茶(きょうばんちゃ):
京都の日常茶。成長した大きな葉を枝ごと刈り取り、蒸して揉まずに乾燥させ、強火で炒ったもの。落ち葉のような見た目と、焚き火のようなスモーキーで強烈な香ばしさが特徴です。カフェインが極めて少なく、赤ちゃんにも優しいお茶です。
玉露とは真逆!熱湯で一気に淹れるのが正解
高級な緑茶(玉露や上級煎茶)は、お湯の温度を50〜70度まで冷ましてから淹れるのが鉄則でした。しかし、ほうじ茶の場合は全く逆です。
ほうじ茶の命である「ピラジンの香り」を最大限に引き出すためには、グラグラに沸騰した100度の熱湯が必要です。
急須に茶葉を入れたら、熱湯を一気に注ぎます。抽出時間はたったの30秒程度。長く置きすぎると雑味が出てしまうので、香りが立ったらサッと湯呑みに注ぎ切るのが、美味しく淹れるコツです。
番外編:香ばしさを「食べる」!大人のほうじ茶スイーツ
飲むだけじゃもったいない!最近、カフェやコンビニでも「ほうじ茶ラテ」や「ほうじ茶パフェ」などのスイーツをよく見かけませんか?
実はほうじ茶は、抹茶と違って苦味が少なく、生クリームやチョコレートなどの乳製品や糖分と相性が抜群なのです。ほうじ茶特有の力強い焙煎の香りが、スイーツの甘さをスッキリと上品な「大人の味」に引き締めてくれます。
ご自宅での憩いの時間に、温かいほうじ茶と一緒にほうじ茶スイーツを合わせる「ほうじ茶づくし」も最高ですし、お湯やミルクに溶けやすい「ほうじ茶パウダー」を常備しておけば、いつでもおうちカフェ気分が味わえますよ。
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おわりに:香ばしい香りに包まれる夜を
カフェインが少なく、脳をリラックスさせる香りを持つほうじ茶は、まさに「憩いの時間」のためにあるようなお茶です。
今日は少し疲れたな、という夜は、お気に入りのマグカップに熱々のほうじ茶を淹れてみてください。立ち昇る湯気と香ばしい香りが、1日の疲れを優しくリセットしてくれますよ。
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